2010年09月05日

世界樹

<世界樹>  記 中尾彰秀    詩人・ピアニスト・ヒーラー

     あなたの人生を至福にする百の詩集(69)

 「ことばよ 宙空へ」 藤井雅人詩集 土曜美術社 定価2500円+税
                      2010年出版 A5版 22篇 百頁

      この世界の神々しさを、見事に表現した詩。
      知識と知性による表現。
      表現の天才。
      知性に止まる。
      本質は、一皮向こうに在る。
      光と一体にならぬ知は、近代分裂性実存を引きずりつつ。

         「 世界樹  -------- 北欧神話から ------- 」

<この世界を貫いてのびる大樹があるという 地獄----ヘル----に根を生やし
 巨人たちの世界 妖精たちの世界 人間たちの世界を 樹はのぼってゆき
 梢は 天上の神々の世界に達している

 都市は今日も 混濁した呼吸をつずけている 人間たちを 車を 閃光と
 騒音をかきまぜて そのかなたに とてつもない世界樹の姿をみる 地上の
 汚歳に根をめぐらし すべての混沌と濁りを糧として 肥えふとり 天をさして
 のびる樹 しかしここから その頂はみえない 

 透明な葉が 空に鈴なりにしげり 七色の光にきらめいている なかばは地上
 から吹きあがり なかばは天から吹きおろす 風にひるがえって

 樹冠は はるかな高みで 極光の波間にゆらめき 鉄琴に似た響きが二つ三つ
 緩やかにめぐっている 世の錯雑は そのまわりを かすかな余韻となってただ
 ようばかり

 昔々に聴いた その響きが 空に透けている おおきな幹をつたいながら 
 ここに降りてこないものかと わたしは耳をそばだてている>







Posted by nakao at 16:44│Comments(0)芸術
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