2010年12月21日

夏のひかり

<夏のひかり>  記 中尾彰秀        詩人・ピアニスト・ヒーラー

 あなたの人生を至福にする百の詩集(86)

 「夏のひかり」  関中子詩集  思潮社 2009年出版 A5版 79頁
                          定価2000円+税

        
         「木のベンチ」

<かなり遠い話だ わたしがこの木のベンチに寝る前の 夕暮れの話か 朝か
 違う 真昼間の話だ

 わたしはひかりを追って町に出た 暗黒に姿を変えた人々が群れる町の束縛の
 すべてをわたしの意志で 断ち切り みなぎる感動でシャツのボタンがはじけそう
 だった 

 あの人はわたしの前をわたしの胸に触れるくらい間近かをゆっくり 外へ出た 足
 音は爪をしまった猫のように静かだった あの人の産毛の優しさだけを集めたよう
 に柔らかい響きだった わたしの上着の裾がひっかかり棚の水色の花瓶が転がり
 水が流れ 昨日までは愛され 良く手入れされた 季節を告げようと咲き誇った花
 が飛び散ったのもかまわずわたしは あのひとを追った わたしの足は麦秋を駆け
 る天馬のように空と大地の境もいとわず前に進んだ それなのにあれいらい わた
 しはあの人に合わない ずっと捜しているのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ちらと見える わたしの姿 わたしの心 わたしの鍵 わたしをわたしへと導く>

       内なるもやもやの中で
       何を探し求めているのか
       自らの源
       それを明確にするための
       心の旅
       想念の旅
       途上重力を失くしたまま
       認識によって無くすのではなく
       浮遊
       光り輝くその道筋を
       大切に抱いて
       花ひらく美しき抒情

       自意識の泥沼に
       ハマることなく
       存在の源へ
       果たして
       行き着くだろうか
       泥沼が詩ではない
       その認識は何処へ
       



Posted by nakao at 17:18│Comments(0)芸術
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