2011年03月17日

清水一郎詩集

<清水一郎詩集>  記 中尾彰秀         詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(4)

 「ちょっと見えてきた」 清水一郎詩集 編集工房ノア 2003年出版 定価2000円+税
                         A5版 44篇 109ページ

           「風に向かって」

<控えめな性分が 思わぬ誤解を招いたりして 世渡り下手を嘆いたものだが いまはもう
 細かいことは気にしないで ひとつひとつ身軽になって 風に向かって まっすぐ行く
 気短だった性分も 角がとれて ささいな事に腹を立てたりした 若い頃を思い返している
 それもいまは過ぎてしまったこと ひとつひとつ身軽になって 風に向かって まっすぐに行く
 
 半ば透きとおって>

        達人の域であるが、かように、書かずして書く真髄は
        一長一短。
        この芭蕉のごとき俳句の魂のパワーを、現代人は
        理解できるだろうか。
        この詩人は、輪郭がぼけて美しく見えるのを、オーラ
        のごとき真実と理解し、「ちょっと見えてきた」と言い、
        透徹あるいは癒しを、「半ば透きとおって」と言う。
        見事な、達人のトボケだ。

        知っておかねばならない。自意識分析言語を並べ、
        いかにも、心-------実は表層心------を書いてますの
        流行の雑文現代詩は、ただの泥沼であると。もちろん
        泥沼にハスの花は咲くことがあるにせよ。

        さて、もうひとつ、美しい詩を。

            「知っている」

<マンボウは ウキギとも マンボウザメとも呼ばれている 卵円形の体と
 アンテナめいた 背びれ しりびれ サカナとは言うものの あまりの違いに
 とまどってしまう 泳ぎにも飽いて 体を横たえ波間をただよう マンボウは
 今夜も満天の星座を見詰めている マンボウのねがいを 僕はうすうす知って
 いる この地球から 母なる星へ還る日を ひたすら待ちつずけていることを>



Posted by nakao at 17:46│Comments(0)芸術
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。