2011年07月01日

関中子詩集

<関中子詩集> 記 中尾彰秀         詩人・ピアニスト・ヒーラー

 青を基調に
 著者による表紙絵は
 窓などの人間の営みのひかりが
 花のごとく咲き並ぶ
 ひょっとしたら
 理知という西欧の教育お勉強に
 魂が凌駕される以前の絵だろうか
 子供のひらめきは9歳前後迄
 健在なのである

 大人になっても
 それを保持していたら
 天才と言う

 真実は明確である
 宇宙は明確に真実を描いているから
 私は明確に真実を語る

 しばし表紙に見とれてから
 本文に入る

 やはり、絵と同じく
 大自然の内部との対話に明け暮れて
 しかし、大自然の内部は
 いまだに少年少女の迷いの地平
 芯には至らぬまま
 踊り続ける魂
 いつしか至るべき至りに至るべく

        「その道」

<あるいたあとにできた道ではない だれかが図面のうえに 定規をあてて
 できた道だ

 目視を事前にしたが 反対も改善もできなかった 賛成の声もあげなかった
 夢のうえをあるくようで かくれた他人の視線をさがしっこするようで むずか
 しい幾何学をとくようで 立体的な空間をはおうにも すべすべで 内外も上
 下も区別つかなかった

 きいたこともない言葉をきいて たずねたりこたえたりする 度胸と愛嬌ぐらい
 はにぎっておこう 

 その道が蝶の飛ぶ道のようなら良い その道にかたつむりがはえるようならよい
 風の花びらをひろってすすめるならなおよい ところどころとんだり 兎のように
 はねたりしなければならないとしても あるいはあとにできた道でなくとも あるい
 たあとに愛することができるだろう いったりきたり もどったりかえったり だれも
 いないのにいつもだれかに愛される その道>

 みんなの人生を至福にする百の詩集(16)

 「愛する町」 関中子詩集 思潮社 2200円+税 2011年 A5版 22篇 95頁



Posted by nakao at 17:16│Comments(0)芸術
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