2011年09月12日

天才の雲

<天才の雲> 詩 中尾彰秀           詩人・ピアニスト・ヒーラー

 パンダ狸芝犬プードル猫人間イタチイワシイルカ小波大波
 何にでもなる雲は
 確かに天才

 私は多忙で
 ゆっくり鑑賞できなかったが
 紀ノ川の橋の途上
 老人は自動四輪車を止め
 何物かを噛み締めるがごとく
 この二重三重の天才に
 見入っていた

 南紀に大災害をもたらした
 雨台風のあくる日

 一瞬私は
 言い知れぬ恐怖と悦楽を感じた
 この百変化の雲を背負って
 バイクで一気に橋を渡るとは
 人生の何もかも
 余分なものは捨て去り
 生まれてから死ぬまでと
 死んでからの永遠回帰の旅路を
 ほんの数分に凝縮してしまうこと

 夕刻になると
 雲は黒く合体し
 またしても大雨となった



Posted by nakao at 18:16│Comments(0)
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