2011年12月29日

一つの始まり

<一つの始まり> 記 中尾彰秀             詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(39)

 「一つの始まり」 三浦千賀子詩集 竹林館 2011年 B6版 196ページ 96篇

      なぜ、一つの始まりなのか
      
      始まりとは本当のスタート
      生命の価値や奥深さや
      自らの活力に気付いた時が
      スタートなのだ
      そのきっかけを
      より多くの人に与えたいと願う
      本来の教育相談員の仕事
      たまさかにそれは詩であった

      どんな教育を受けたのか
      震災地のとある犬は
      来客ごとに
      石を吐く
      想像を超えた衝撃と
      環境の変化に対応するべく
      遠い先祖の呪術的習慣を
      思い出したのに違いない
      犬に芸術など用はない
      存在の根源を彷彿とさせる
      生きる力は
      藤原達也氏の「犬」の写真を思い出す
      --------すさまじい野犬
      東松照明氏の「やかん」の写真を思い出す
      --------原爆を受けた凄みのヤカン
      さらに私は
      30数年前に行ったインド・チベットを思い出す
      私の魂の故郷は
      インド・チベットだ

           「石を吐く犬」

<仮設住宅の一軒を訪問した時 戸口の前に 黒い犬が繋がれていた

 訪問者を警戒する様子もなく 盛んに尻尾を振っている 同行の男性が
 近ずくと 口からポロッと 石を吐いた 

 仮設住宅の敷地の端に 敷き詰められている 黒い石だった

 家人が言う 一人が来るたびに  石を吐くのです

 犬にもストレスがあるのだろうか 飼い主の家が流され その変化を犬も
 感じているのか 家の中で飼われていたのかもしれない

 まるで人が来るのを待っているように そうでない時は 石を噛みしめて
 さみしさを紛らせているのか 石を吐いた犬は 白い腹を上に向けて
 男性に愛想を振りまいている>
      
      



Posted by nakao at 17:58│Comments(0)芸術
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。