2012年11月03日

猫が塀の上で

<猫が塀の上で> 記 中尾彰秀             詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(85)

 水野ひかる詩集  土曜美術社新日本現代詩文庫59 定価1400円+税 2009年

      いい詩を書こうと思ったら
      うさんくさい詩人との付き合いは無視し
      一即多多即一の一点を掘り下げ
      ひたすら人生を輝かせること
      いわゆるそれぞれの専門という
      既成精神にはまってしまうと
      もうそこからは創造性は出現しない

      輝いて生きるとは
      猫の昼寝のバランスと
      鳥の羽ばたきと
      犬のしなやかな走り
      そして
      内に宇宙抱く自らの呼吸を
      しかと保持すること
      本物の詩も音楽も何事も
      そこから出現する

      「猫が塀の上で」

<猫が塀の上で けものめいた匂いを 毛並みからたち昇らせている
  詩人にも詩を書く者のくさみがある たくさんの詩を一度に読むと
  食傷するように 詩人とばかりつき合っていると くさみに気がつかなくなる

 画家には画家の 歌人には歌人の 政治家には政治家の臭いがある
 プロのおちいるマンネリズムの罠 その落とし穴に堕ちてしまうと 普通の
 感覚がわからなくなる 「永田町の感覚で庶民の気持ちがわかるか」
 と叫んだ詩人が 今度は詩人の感覚で横柄に 書かない人を見くだしながら
 詩を書いている まるで変人扱いされた腹癒せのように

 書かない人達と付き合うときの話題は 平凡でつまらないように見えても
 汗を流す生活の中 きらりと光る真実がちりばめられている それに気つき
 大切に拾い上げる作業を忘れて 言葉の世界にどっぷりとつかっていると
 精神と肉体のバランスが崩れ わけの分からないことを口走ってしまう

 人は全き人生を完了する為に 精神と肉体の何れもが不可欠

 猫は塀の上で 整然と眠っている バランスよく落ちない>



Posted by nakao at 17:57│Comments(0)芸術
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