2013年01月08日

北村真詩集

<北村真詩集> 詩評 中尾彰秀                  詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(96)

 「ひくく さらに ひくく」  北村真詩集  ジャンクション・ハーベスト 2012年 
                          A5版 96頁 21篇 定価2000円

         傷ついた心の奥からやってくる、想念・春。
         既成事実である傷心。
         同情や憐れみではない、
         自らも体験する哀しみ。
         その存在の闇に闇の奥に入ること。
         しかし、哀しみも悲しみも心の持ち方である。
         生かされていることへの感謝は
         魂のひらめきとなって
         闇の奥の宇宙から変換される。
         傷そのものの変質。
         ひらめきにより傷の磁場そのものが
         春になるがごとく
         変質する。
         癒し波動への気付きが
         自らをも救う。
         魂の勇気。

        「早春」

<さえわたる 夜空の ほそく かけたところから はるは やって来るのです

 さいごの 葉の ひとひらが あかく燃えながら はがれ落ちた 穴から
 樹のなかに はいり込むのです

 枝の もげ落ちた 傷あとや かたいものと ぶつかった 幹のくぼみや 歳月を
 かさねた うろの深みまで ひとつひとつ ていねいに うつしとりながら 
 ゆるゆる 広がってゆきます

 あますところなく 樹に たどり着いたところで 大きなくしゃみを 
 二度三度くりかえします

 すると 樹の あらゆるところに まるい 息があふれ 樹の ひんやりした 暗闇の
 ほそく かけたところから ちいさな はるが やって来るのです>



Posted by nakao at 18:31│Comments(0)芸術
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