2013年05月14日

おつり

<おつり> 詩 中尾彰秀                  詩人・ピアニスト・ヒーラー

 カウンターを
 思いっきり叩いて
 カムバックと叫んだら
 しぶしぶおつりを出した
 鉄道駅切符売り人
 日本人は金持ちだから
 おつりはいらぬと決めているのだ
 
 おりしも
 ビートルズがインド哲学に
 心酔していると知った
 頭の良い学生が
 ヒッピーまがいのインドツアーに
 なだれ込んだ時代
 もう40年近く前
 空気のまだ澄んだニューデリー
 茶色土とあそこ丸出し大便少女だけで
 十分なカルチャーショック

 その後
 ブッダガヤやベナレスに行って
 再びニューデリーに来た20日後
 公園のブラックマーケットで
 コンドームとマッチを売ろうとして
 財布を摺られ文無しに
 しかしすかさず8ミリカメラを売り
 金持ちになる
 国際交流などという
 茶番劇では経験できぬスリル

 きっちりとおつりを大切に
 チップのチの字も頭に浮かばぬ
 日本人の一人である私だが
 今でもおつりに悩まされる
 洋式トイレ



Posted by nakao at 17:45│Comments(0)芸術
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