2013年08月19日

こまつかん新詩集

<こまつかん新詩集> 記 中尾彰秀                詩人ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(35)

 「見上げない人々」 こまつかん詩集 土曜美術社出版 2013年 A5版 25篇 95頁
                        定価1800円+税

      現実の事象を良く見ながら
      隠された何かを見極めようと
      する意志は、特に戦争と平和
      と生命に集中する。社会批評
      に止まらず、世界宇宙の真実に
      迫りつつ。
      「見上げない人々」とは、
      今ここに生きる人の意味か。

      「あなたは戦火のなかの」

<私の 後ろの正面に 後ろ向きで立っている人 あなたは誰だろうか
 こころのなかで呼びかけてみるが その泣きべそはとまらない 夕べも
 遊びの途中で泣きべそをかいて 何かをさがしているのだった 人の
 気配に振り向くと 今夜は 私にも少女の瞳がぼんやりと見えた
 そして 少女の赤い靴 実際は赤い色かどうかもわからず ただ 踏ま
 れたあこよがそのままで 傍らに手まりも寄り添って 実際は手まりか
 どうか それから ガキ大将の野球帽も これは鎧の部分で判別できたが
 ひしゃげたまま落ちている みんな寄り添い 折り重なり 瓦礫と一緒に
 静止して 痕跡をとどめようとしている

 どこの戦でもわらべが泣きべそをかいて 消えていった そして 大地が
 新芽の季節を迎えると ・・・・・

 私の 後ろの正面に 後ろ向きで立っていた人 あなたは戦火のなかの
 わらべだった・・・>




Posted by nakao at 16:33│Comments(0)芸術
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