2013年12月09日

吉田定一詩集

<吉田定一詩集> 記 中尾彰秀            詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(43)

 「熊さん」 吉田定一詩集 2012年 らくだ出版 1800円+税
                 A5版 35篇 102頁

        「ひとひらの雪」

<天から地上への なんと美しいたましいの旅路だ

 花びらのように舞い降りてきて 手のひらに乗るや

 みずから密葬を済ませるかのように おまえは水から生まれて
 そして 水に還る 一滴の涙にして

 また生まれて帰っておいでよ 自身に言い聞かせるように

 そおっと手のひらの 小さなひとひらの哀しみを握る>

        生命の慈しみの歌。
        生命エネルギーの立ち上がりが
        自らと雪と
        重なったのだ。
        この重なりは
        梵我一如
        つまり
        あらゆる存在の深い本質が
        自身の空なる心に
        等しいと言う
        最高の精神領域。

        この境地は
        日々においては
        熊さんと遊ぶ優しさや
        庶民の暮らしを重ねる平凡さや
        シュールリアリズム的な絵になって
        魂の間合いを
        メビウス状に揺らぐのだ。

        ポンと究極の出てしまった詩人は
        それから駄作を重ねるのか。いや。
        言葉を超えた境地を遊ぶのである。
        それを、風雅と言う。
 

 



Posted by nakao at 17:04│Comments(0)芸術
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