2013年12月12日

下村和子小説集

<下村和子小説集> 記 中尾彰秀                詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(47)

 「今日だけの女」 2013年 竹林館 定価1500円+税 12編 B6版 304頁

       詩人の書いた小説。登場人物を変えても
       人間は出るから、詩と同じ。濃厚な情念が
       醸し出されている。情念-----対象化された
       外部に神聖さを得ようとする試み。瞬間で
       永遠の物象を超えた波動次元には距離が
       ある。意識を意識する実存。答えならぬプロ
       セスはしかし、気まじめに展開される。

            「縄文杉」

<・・・・・・・・・・・・・順子は身体中の体液が浄化していくような気がした。
 杉は世の中の闇をすべて吸い込んで黒ずんでいるようであった。順子の
 小さな闇も樹はたぶんかかえこんでくれたのだろう。 順子は胸の奥底か
 ら突き上げてくるような喜びに包まれていた。これからの日々を、独りで
 歩いていけそうな気がしていた。樹は、孤独を知り尽くしたやさしさで順子
 を抱いてくれた。・・・・・・・>


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Posted by nakao at 18:13│Comments(0)芸術芸術
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