2012年04月24日

歳月という兎

<歳月という兎> 記 中尾彰秀            詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(53)

 「歳月という兎」 苗村和正詩集 編集工房ノア 2012年 A5版 103ページ 30篇
                              定価2000円+税

       究極のところ
       存在は持つ
       物象超えた自在の
       波動を
       50年100年1000年
       一瞬の内に凝縮し
       人間の肉体と精神を介して
       風土は教えてくれている
       果てでありながら
       中心である
       生命の本質を
       なお
       この感慨はどこにいようとも
       同じである
       今も地殻変動のさなか
       同じ地球なのだ

       「岬」

 <北緯三十八度四十七分西経九度三十分

  そこは ぼくがあるいてきた人生の ひとつの到達点でもある

  けわしく切り立った断崖から はがねをめくるように海が光っている
  ここはユーラシア大陸最西端の岬

       ここに地果て海始まる

  十字架の塔に刻みこまれたカモンエスの詩句が投槍のように 旅人の
  胸をつらぬく

  荒涼とした岬の斜面に咲いている花々は 吹きあがってくる烈風をまともに
  あびてはがねのようにかたい

  ここには 死であれ生であれあらたなはじまりの予感が咆哮している

  岬の青くくらい風の怒濤をあびながら 心があるきだすまで ぼくはたっている

  北緯三十八度四十七分西経九度三十分>



  


Posted by nakao at 22:25Comments(0)芸術