2013年03月20日

吉井淑詩篇

<吉井淑詩篇> 記 中尾彰秀                詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(8)

 「野」 吉井淑    詩誌「きょうは詩人」 20号 2011年 400円

      <いつまでも野を離れられないのは
       どうやら風葬を見届けようとして

       遠く広がる野も
       夕陽の下では身一点
       ほんのりと在ります
       再び夕日を眺めに
       生まれたがっているものたちと

       夜には空の底深く沈んでいます
       滑るように進んでいく弟の小さな棺
       忘れていったボール
       かすかに動いています
       曲がった腰で走っていく祖母
       弁当のない中学生のたかしの坊主頭
       ぶらぶら歩いていきます
       きつねの葬列も静かに通って
       闇のむこうへ風が渡り
       星といっしょに
       野はゆっくりと傾いていきます

       夜明け
       朝霧をたっぷり吸って
       ふくらんだ野に
       産声がひとつ
       野球帽の弟ももどってきます>

       素晴らしき東洋の存在論・現代のヒーリング・宇宙一体
       この世界、生死一体であることは
       ごく自然のことである
       久し振りに
       魂のシャッキーとする
       無駄のない詩
       まるでこの前の邦画
       「おくりびと」
       慈しみに溢れた詩は
       自動的に音楽を
       構築する


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Posted by nakao at 17:03│Comments(0)芸術
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