2013年03月09日

詩の講座

<詩の講座> 記 中尾彰秀              詩人・ピアニスト・ヒーラー

 2013年3月3日
 片男波は万葉館で
 詩の講座があった
 私はある人をある人に
 紹介する為に
 付き添いで行ったが
 行ったからには
 参加ということになった
 講師先生は
 かの詩人武西良和氏である
 
 端的に言って
 講座は
 想定外のことを想定した
 すばらしきものであった
 とうへんぼくな
 ベテランの詩人が
 一人いたという想定外
 その時いくつかの詩を
 作ることになったが
 その一つがこれ

 「かつて 片男波の松の木林を 歩いていると
  急に九十を超えた老人が 近ずいて 囁きに来た
  
  戦時中此処は 死体焼き場やった 延々と灰色の
  煙が 何本も何本も 龍のごとく 天に昇っていた
  あらためて目を 見開いてみると 誰もおらず
  一羽の大ガラスが 会釈して 音もなく 飛び去った

  私はその直前 人間は経済成長という熱を 覚まさね
  ばならない などと考えていたが 
  ジュワー ジュワー と音がして
  インドで見た 日の入りのごとく
  オレンジ色の まんまるは
  ゆっくり 下降する」
  


Posted by nakao at 18:21Comments(0)芸術

2013年03月09日

うちゅうのせつり

<宇宙の摂理> 詩 中尾彰秀           詩人・ピアニスト・ヒーラー

 いくつかの蜜柑の皮を
 湯舟に入れて
 しばらくすると
 必ず
 彼女たちは寄り添う
 やっと思い切ったの
 少し恥ずかしげに
 ジュジュッと
 音立てながら
 寂しさを紛らす為ではない
 粉砕を受け入れ
 自ら中和する
 不思議の力に
 委ねられるべく
 蜜柑同士という
 縁に引っ張られるのだ
 静寂に浮上する
 一つの源

 細胞の粒子一つ一つに
 羅針盤張り巡らせ
 蜜柑が蜜柑たる波長は
 太陽をたっぷり浴びた
 甘酸い緑の旋律
 魂の内襞に
 哀愁を深く刻み
 傷の磁場まるごと癒す
 そう言えば
 縁と緑の漢字は
 なぜかしら似ている

 何故おれんじ色に
 覆われた内皮は
 白いのか
 掌に乗せてみると
 微笑のような答え
 ほろり
 宇宙の摂理をふと思う

 分散し過ぎ
 増やし過ぎ
 殺し合う人間は
 何をどこでどう違えたのだろう  


Posted by nakao at 17:46Comments(0)芸術