2013年09月12日

奥田博之詩集

<奥田博之詩集> 記 中尾彰秀                  詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(38)

 「顔の移転」 奥田博之詩集 2004年 詩画工房 2000円+税 A5版 147頁 40篇

     三重県出身で渡印し、13年間ラーマクリシュナ僧院に
     入っていた詩人。1977年帰国。故人。

     「桜の季節」

<もうすぐ 桜の季節がやって来る 毎年 満開の桜の下に 独り 立ちつくすのが
 私の楽しみ 五分咲きでは早すぎる 桜が満開になって あたり一面が 花で被わ
 れているときがいい 西行が桜の花に寄せた思いは いったい何であったのか
 それは インドでは神の至福であろうし 仏教では涅槃寂静であろうが 私には
 究極にあるものへの憧憬と 美への憧れがある 満開の桜の下に立つとき 私は
 えも言われぬ 自己の 不生の甘美を味わう 私が生きているということは 私が
 現われていることである しかし存在そのものは現象ではなく 私は生まれたもの
 でも 作られたものでもない 花のいのちは短くても 超えた桜一色の世界 それは
 何と甘美な風情であることか! もうすぐ 桜の季節がやってくる>

     桜花の下で瞑想。
     瞬間で永遠の生命は
     正しく甘美である。
     日々生命の開花に。
     ちなみに
     究極のものは
     インドにのみあるのではない
     ほらここここ。


  


Posted by nakao at 17:48Comments(0)芸術