2011年03月23日

雨降りの音楽

<雨降りの音楽> 詩 中尾彰秀            詩人・ピアニスト・ヒーラー

 雨が降る
 二億人の涙をためた
 直径五十センチの水たまり
 一切の緊張から解放され
 至福の弦を張る

 一秒に三十個程
 雨滴は環を描いて
 すっと消えるが
 いかなるむごたらしさも
 永遠の環に収め
 固有の美しき響を丁してから
 奥深くへと浄化する
 宇宙の律義
 あ やはり
 決して同じところに落ちない
 
 アスファルト歩道は
 一つの巨大なピアノだ

 誰が決めたのでもない
 誰に聞かせるのでもない
 大いなるものの計らいで
 大空のどこかに
 雲がやって来てのインプロヴィゼイション

 昼食時お店のBGMは
 何やらの記憶された感情の名曲
 それは音楽ではあるが
 真の音楽ではない

 雨(天)が降る  


Posted by nakao at 18:06Comments(0)芸術