2011年07月06日

南方熊楠

<南方熊楠> 記 中尾彰秀          詩人・ピアニスト・ヒーラー

 相も変わらず
 と発語したところで
 ふと思った
 ひょっとしたら
 変わらぬことこそ
 大自然であり
 却って良いのではと

 奥深い宇宙の中心は
 変わることなく
 絶えず流れている
 我々人間の体内にも
 かくなる宇宙があり

 確たる宇宙を
 内に持っていた
 南方熊楠は
 いかに優れていようとも
 その変人さゆえに
 各方面からいじめられていたようだが
 今となっては
 大偉人として奉られている
 それはそれで時代の流れである

 大切なのは現在
 今ここにある思想哲学芸術の
 奥深い実態は
 相も変わらず理解されていない地方文化
 そんなこと気にもなりませんとばかりに
 地方詩誌に初出した一篇の詩

      「南方熊楠」

<あなたに面と向かって立つ 右 西スグに世界一統酒造
                  左 東隣にコピー印刷機会社
                  前 紙ひこーきの届くくジャズ喫茶「ラ・セーヌ」
                  後 イチローが思いっきりボール投げやっと
                     届くところに南海和歌山市駅
                  南 オーイと声掛けハーイと届くNPOと発明館
                  若かりし頃IQ180とのたまう抒情詩人の住む
                  マンションそそり立つ
 戦争末期死体で埋まった眼前の川は
 時の流れを悟らぬまま妙に静かに流れ
 よくぞここに生まれた南方熊楠

 今日上半身の像が
 ひとしお柔らかいのは
 暑さのせいだけではない

 私は見る
 大流行神からのお勉強ヒーリングに
 くしゃみして
 ふんどし一丁で
 山を走り下りる
 あなたの勇姿を

 月と太陽と地球丸ごと胸の奥にある
 粘菌だらけのその肩を>       (新怪魚112 2009年)

掲載は、中尾彰秀第20詩集「静かな背ビレ」(2010年 森羅通信の会出版
                      定価1500円 27篇 A5版 82ページ) 
(購入法) 郵便振替 森羅通信の会 00940-4-29604 定価1500円+送料200円
   


Posted by nakao at 18:11Comments(1)芸術