2012年11月05日

ヒガンバナ考

<ヒガンバナ考> 記 中尾彰秀             詩人・ピアニスト・ヒーラー

 ドッヒャー!!
 この毒は何の毒
 存在次元を高める
 癒し波動ではなく
 自意識に支配された
 二元的生き方のままで
 心は傷つかざるを得ぬと
 知り抜いた
 天才的知性が生んだ
 ステロイドのごとき衝撃で
 副作用覚悟のまま
 心を止揚する古典方式

    「ヒガンバナ考」

<土手道で 血を流している ヒガンバナ 花の数だけ アルカロイドをもつ鱗茎が
 びっしりと地中に埋まって シビトバナ 見えないかたちが 胸のあたりにつかえて
 息苦しくなり 心の中に見てしまう ジゴクバナ 痛めつけられ傷つけられて 少し
 ずつ強くなるということは 本当は恐いこと 血を流した分だけ ドクユリ 心の隅に
 いつのまにか 毒を貯え 泥田にひらく蓮の花にあこがれながら マンジュシャゲ
 ねたむ うらむ 嫉妬にくるう オイランバナ 中枢神経をマヒさせる成分が 古い祠
 の暗がりで 精神の暗がりで ヘビノハナ ・・・・・・>

    水野ひかる詩集 土曜美術社 新日本現代詩文庫59 1400円+税
   


Posted by nakao at 16:43Comments(0)芸術