2013年10月04日

水口洋治詩集

<水口洋治詩集> 記 中尾彰秀                  詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(39)

 「僕自身について」 2003年 竹林館 ポエムポシェット14 文庫版 
                   800円+税 36篇

 詩人は2013年8月31日故人となられる。
 冥福をお祈りいたします。

     「午後」

 <白いノートに 光がたまる   -----午後  とけこむような音をさせて
  そよかぜは そっと 少女の髪をもちあげる>

     「秋の音」

 <あおい色した 木立のかげで  秋が音をたてる
  万物は 一瞬凝固して 秋の音に耳をすます
  その時 空が夢の様に街に流れてゆくのを
  私は見た>

     「ぎんなん」

 <ぎんなんを踏むと 白い音がした。
  それは秋の日の通りに きらきらした真実をこぼした。>

 2013年夏、関西詩人協会主催の詩絵展で、水口氏は「ぎんなん」を
 展示していた。今読んでもハッとする作。自然と自らの触れ合いに深い
 抒情を見出している。大自然の奥深さは、かような直感に止まらず、自ら
 魂の細胞の精神の波動エネルギーたる癒しにあるのだが、かくなる内な
 るものへの予感としての名作である。  


Posted by nakao at 16:48Comments(0)芸術