2014年02月04日

中川たつ子詩集

<中川たつ子詩集> 記 中尾彰秀                  詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(61)

 「中川たつ子詩集」 近文社日本詩人叢書106 1990年 定価1000円 24篇 76頁

       自意識の闇の中での自己確証は
       鈍く光り。言葉の弾力を発揮する。
       悶えに見出す内なる光の予調。
       悶えの角度、深さ、味わい。24
       年前の秀でた詩集。「新怪魚」同人。

           「スターダスト」

<輪切りにした 意志を持ち上げ 持ち上げ 翔け昇ってゆく 歩道橋
  ---------- 子供の熱は まだ下らない --------

 この空の どこか 百億光年の彼方へ 旅立った人工衛星があるという
 顎を上げ斜め上空の視界に 私という領域から脱した 遥かな軌道が
 伸びてゆく 青になれば渡って来た歴史と 下りるためだけに上がる歴史

 「私はどこへ?」 一瞬 喪失した記憶の歩巾 みたこともない 
 みたこともない内壁を抱えたスターダスト

 歩道橋のどまん中 立ち止まる足下を 見慣れた時間が閃いては通り過ぎる
 私と私の 立体交差 わざと迷いずれた隙間に割りこんで 買ったばかりの
 解熱剤の箱がある>

  


Posted by nakao at 17:23Comments(0)

2014年02月04日

仙人

<仙人> 詩 中尾彰秀                 詩人・ピアニスト・ヒーラー

 コココココ コトッ
 クキョ
 コココココ コトッ
 クケッ

 瞑た眼に
 スイッチを切ると
 徐々に
 暖より
 冷へ
 外気に近ずく近ずくのだ
 その時襲われる
 納得というもの
 何か
 とてつもなく
 懐かしいところに
 還ることのような

 ファンヒーターの 
 スイッチを切る  


Posted by nakao at 16:56Comments(0)