2010年11月05日
闇兎
<闇兎> 記 中尾彰秀 詩人・ピアニスト・ヒーラー
あなたの人生を至福にする百の詩集(79)
「三丁目三番筋」 吉井淑詩集 編集工房ノア 1900円+税
A5版 87頁 21編 出版2009年
2011年は兎年。
月に兎が住み始めたのはいつからか。
夜にひそむ
闇猫ならぬ闇兎。
人それぞれについている兎。
人間を見張るがごとく
ひょっとしたら人と共存しているのか。
少なくとも、人間より
遙かな昔より
大自然の中に存在していたのだ。
兎たちは知っている
世界あるいは宇宙のの奥域。
単に迷宮の悦楽ならず
まるで大人のおとぎ話のごとく
何かしら、我々の忘れ去った
神秘的な事を示唆している詩たち。
「 三丁目三番筋 」
<路地の朝は早い 開けるか明けぬかの刻 まだ暗い朝のむこうから
鳥の声が生まれ 犬が吠えだし 年寄りたちのひそひそと集う声
ウサギガハネテネムレマセン
うつらうつら聞いていると ゴミの山を残していなくなったおばさんの声が
混じっている 出ておいでよ 兎を追いかけに 今なら青りんごの空を行
ける 兎はこちらの山かと思えばあちらの山 いくつもの山を越えました
見晴らしばかり遠く どことも知れないところまで
兎に見られていると気ずいて 目が覚めた へんてつもないいつもの朝だ
ったけれど スーパーマーケットへ歩いた午後 萎れかけた菜を刻んだ夕刻
どこからか 兎に見られていた
夜が来て 月光がそこかしこ散り 路地に兎が潜んでいるのだった 捕らえ
がたいものが跳ねていた 追いかけた 行っては戻り あちらの脇道こちら
の細道 おばさんは山を越えたらしいが わたしの兎はただ闇雲で 抜け道
さえ見つからない
路地の朝は早い 年寄りがぼそぼそと ウサギニカマレテシビレテイマス>
あなたの人生を至福にする百の詩集(79)
「三丁目三番筋」 吉井淑詩集 編集工房ノア 1900円+税
A5版 87頁 21編 出版2009年
2011年は兎年。
月に兎が住み始めたのはいつからか。
夜にひそむ
闇猫ならぬ闇兎。
人それぞれについている兎。
人間を見張るがごとく
ひょっとしたら人と共存しているのか。
少なくとも、人間より
遙かな昔より
大自然の中に存在していたのだ。
兎たちは知っている
世界あるいは宇宙のの奥域。
単に迷宮の悦楽ならず
まるで大人のおとぎ話のごとく
何かしら、我々の忘れ去った
神秘的な事を示唆している詩たち。
「 三丁目三番筋 」
<路地の朝は早い 開けるか明けぬかの刻 まだ暗い朝のむこうから
鳥の声が生まれ 犬が吠えだし 年寄りたちのひそひそと集う声
ウサギガハネテネムレマセン
うつらうつら聞いていると ゴミの山を残していなくなったおばさんの声が
混じっている 出ておいでよ 兎を追いかけに 今なら青りんごの空を行
ける 兎はこちらの山かと思えばあちらの山 いくつもの山を越えました
見晴らしばかり遠く どことも知れないところまで
兎に見られていると気ずいて 目が覚めた へんてつもないいつもの朝だ
ったけれど スーパーマーケットへ歩いた午後 萎れかけた菜を刻んだ夕刻
どこからか 兎に見られていた
夜が来て 月光がそこかしこ散り 路地に兎が潜んでいるのだった 捕らえ
がたいものが跳ねていた 追いかけた 行っては戻り あちらの脇道こちら
の細道 おばさんは山を越えたらしいが わたしの兎はただ闇雲で 抜け道
さえ見つからない
路地の朝は早い 年寄りがぼそぼそと ウサギニカマレテシビレテイマス>