2015年05月08日

吉田定一新詩集

<吉田定一新詩集> 記 中尾彰秀                詩人・ピアニスト・ヒーラー

 地球を至福にする百の詩集(40)

 「朝菜夕菜」 吉田定一詩集 2015年 竹林館 2000円+税  29篇

       めろん、ぜんまい、ねぎ、とうがん・・・・・一つの野菜に
       一つの詩と田中清氏の版画。

       聞こえる聞こえるのである。
       息を抜いた野菜たちの声、
       自然と癒されてしまう野菜たちの声。
       それは我々人間の声でもあって
       正しく野菜とそして版画と
       共鳴してうたを歌っている。

       子供の様な純粋さに
       涙が出る
       百姓さんもう農薬は使わないでね
       遺伝子操作の種は入荷しないでね
       輸送時にヒ素毒使わないでね
       みんなで実践しよう医食同源
       好きな肉たっぷり食って認知症
       それはもうやめとこうね

       「とうもろこしのうた」

       <ひとつぶ ひとつぶが はるか彼方の 星雲からやってきた
        楽団員の ようだ

        幕が 取り払われたところで そろそろ 収穫を祝う 
        音楽祭を 始めましょうか

        美しく並んだ オーケストラを前にして さわやかに 秋が
        黄金の指揮棒を 振り始めた>

        「たまねぎのうた」

        <だれだって たまねぎの皮をむきながら 泣いてしまう

         怒っている ひとも 笑っている ひとも ひとしく わけもなく

         ただ ひたすら 目がしらを 熱くして 涙 する

         そして ひとは 知らず知らずのうちに 蛍火のような
         やさしさに 抱かれてゆく

         やさしいことは 理由もなく かなしいことなのか
         と たまねぎの 皮に 問い つつ>  


Posted by nakao at 17:58Comments(0)