2009年07月20日

きのくに詩話会(1)

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2009年7月19日(日)午後1~3時 タオハウス1F
「光の階段」 津坂治男詩集 (竹林館 2000円+税) の朗読と批評。

「階段」
<あそこから射してる、 と孫 曇っているのにどうして暗くならないの、と訊いたすぐ後
西の峰から雪崩れのように注ぐ光の束 雲の隙間から・・・という説明はもう聞かない小一
「光の階段」と言いかけて 一瞬ぼくは戸惑う 実はあれはまた命を掬い取る上向きベクト
ルかも? 招き遺した誰か誰かを丹念に掌に拾いとる弥陀のまなざしかも・・・ 東の首都
では 六十三年前の空襲焼死者十万の 何千人かの霊が浄土の人別帳にまだ記されな
いでいる あるいは故郷の家の隣で直撃弾を受けて微塵になった ぼくらの身代り母子三
人の魂も身体ごと繕われないでいる? 喜寿だと言って半ば浮かれているこの老人の丸ご
と摂取も危なかしくて・・・・・・  ロケットは こんな雲の中でも飛んで行くの、 と明日にでも
宇宙に自分も行くつもりか 七歳 あっという間だからな、 とは自分の旅立ちと重ね合わせ
て いつか近ついているお迎えの 光の階段-------->

A5版、75ページ。スッキリとした虹の絵の表紙。言葉は虹となる。詩編「階段」は、やさしさ

と戦中体験の恐れの残像と今生きている事の感謝が、モーツアルトのソナタのごとく心に響

き入る。この詩集は語る。いかなる時代に於いても、人の心は優しくあれと。

詩人 津坂治男   詩集「石の歌」にて、第10回小熊秀雄賞受賞。










  


Posted by nakao at 15:15Comments(0)イベント情報