2009年07月13日

鳩  

  「 鳩 」         詩  中尾彰秀    詩人、ピアニスト

        永遠を抱いて止まぬ無為の空

 大阪 京都 神戸 奈良 東京
 出かけるときは
 なるべく必要以上に早く行く
 時間を余らせ
 無為の時を楽しむのだ
 ひとひとひと空気汚染騒音
 ダメ押しのごとく
 パラボラ携帯電車の電磁波
 中和法反発法すり抜け法
 どうやらこうやらのシールド
 いいこと何かないかとウロウロウロ
 ああ人間中心文明
 意図されたもの信用できない
 どこもかしこも湯気立つオヤツタイム
 オーガニックコーヒーケーキセット無心に食していると
 どこからともなくやって来た一羽の鳩
 つぶらな薄ピンクのマニキュア
 しゃれた女の子いや男の子
 何かの拍子にでも飛沫のかかる水溜めの水そそくさと飲み
 ルルドの聖水で癒されたような
 微笑浮かべ
 足の古傷隠しもせず
 私に一瞥して
 何処かへ
 サッと飛んで行った
 
 ほんのひと時の一羽と一人
 今も私の胸の奥を吹く
 君の置いて行った森の風


*あなたも詩を書いてみませんか。人生を至福にするために。
 詳細は「きのくに詩話会」の項参照下さい。

 
   


Posted by nakao at 17:57Comments(0)芸術

2009年07月13日

あなたの人生を至福にする百の詩集(5)

<<< あなたの人生を至福にする百の詩集(5) >>>

  いちま人形   塔和子詩集  花神社 1500円  1980年出版

  「創造」

<光を闇を水を草を果樹を種を 生きものを水に群がるすべての動く生きものと 家畜と這うも
のと地の獣を 自分の形に男と女とを 思い そして現わされた いまこうして在る 地上の緑
獣 生きもの 人 それらのかなでるドラマは 地に満ちあふれ 光のときも闇のときもくり返さ
れ 今に至り 私は見る6月の山野を 神の頭の中に在ったのは このような季節ではなかっ
たか たわわに実った 果樹の葉をすかして天を仰げば そこは湖のように青く澄んで そうだ
と 答えているようでもあり 答えていないようでもあり ただ静かに 私の問いを受け入れたま
ま ゆらぎもしない そして 私は 微風に髪を吹かせ 頬に光を受け手に果実をもち 神の思
いのように 現わされた形に 立っている>

 ある日、人は、神の思いのように、ある、自らの輝きに目覚める。大自然との共感を得、内な
る風を感じ正しく創造を成す。詩の成就、あるいは、スタート。私は拍手と感謝の花束を贈りた
い。私である以外ない私は、最高の私に。誰しもがそうなれる。  


Posted by nakao at 13:43Comments(0)芸術