2011年01月03日

魂の礼儀

<魂の礼儀> 記 中尾彰秀        詩人・ピアニスト、ヒーラー


 あなたの人生を至福にする百の詩集(92)

 「静かな背ビレ」 中尾彰秀第20詩集 森羅通信の会出版 定価1500円
            2010年出版 A5版 27篇 82頁

        るり子のヌード秋の中之島

 関西詩人協会主催の「詩で遊ぼう会」で作った、一行短詩
 これがこの詩の発端になった
 極めて具体的な精神を持つ
 社会批評と
 自らのピアノ演奏(即興)の感激

 ひとつ秘密を
 ピアノはほとんど無意識状態で奏じているから
 実際奇跡なのだが
 堂々とCМしても
 恥ずかしさは存在しえない
 奇跡を起こしてくれるところの
 私を超えた私が居る
 むしろ、それを褒めたり感謝するのは
 魂の礼儀なのだ

       「るり子」

<     るり子のヌード秋の中之島

 2008年10月19日(日) Sるり子は幾分きつい目の
 秋の日ざしに応えるべく 自らこの大阪中之島公会堂
 の前で 一糸まとわぬ姿となった----- のではない
 可愛いショートパンツに黒の皮靴 白いセーターは半袖
 発売直前の 中尾彰秀ピアノインプロヴィゼイションCD
 「宇宙桜との対話」 の6曲目 「空は宙よ」をたまたま聴く
 に及んで 思わず涙ぐむのだ

 たかが便利に騙されるな 人は何故 その都度の物的欲
 望にかられ 大切な何かを見逃すのだろう 何故 誤った
 政治家を選び ますます国民を苦境に落しめるのだろう

 本日 多くの人々の姿を 京阪電車中之島開通にちなんで
 やってきた老若男女の 姿を見るにつけ 喜怒哀楽を超えた
 根源のエナジーが 彼女の瞳の奥で オールヌードとなって
 踊り出す>

     中尾彰秀詩集「静かな背ビレ」 定価1500円
     中尾彰秀ピアノCD「宇宙桜との対話」 定価1000円

(購入法) 郵便振替  森羅通信の会   00940-4-29604
               各定価+送料は1回に付き200円
 
  


Posted by nakao at 18:01Comments(0)芸術

2011年01月03日

未明の寒い町で

<未明の寒い町で>  記 中尾彰秀          詩人・ピアニスト・ヒーラー

 あなたの人生を至福にする百の詩集(91)

 「未明の寒い町で」 水野ひかる詩集 土曜美術社 B5版 171頁 51篇
                        2500円+税 2010年出版

  内面の彷徨いは心の闇を往き来し、螺旋を描きつつ、自らの在りかを手探り
 する。表現力のあるだけ却って、迷い悩みを持つ人間のカルマ。哀切なる漂い
 は漂いを誘う。
  この詩集に不思議な事が起こった。一Fの書棚で行方不明になったのだ。警
 察に失踪届けを出す前に、二か月で見つかったが。やはり、漂いは漂いを誘う。
 そして、忘れてはならない、答えは自ら探すことによって得られることを。

           「 還暦の桜 」

<車窓に見える満開の桜 巡る思いが 時間と空間を移動する (この子は生きら
 れない) 太平洋戦争末期 栄養失調の母から生まれた赤ん坊は お産婆さんに
 宣告される 水のように薄い母乳 空襲警報の中 懸命に手を尽した牛乳が 生
 命を繋いだ

 車窓に見える満開の桜 母に連れられ 親類の家へゆく途中 (この子は二十歳
 まで生きられない) 目の前の座席の見知らぬ人が 病弱な少女の左頬の黒子を
 指さして言う 占いなど信じない母 小児科に通っていた少女は いつのまにか 
 自分捜しをする詩人になった

 車窓に見える満開の桜 生家に向かう列車に乗る 二人の子供を連れて (六十歳
 まで生きたら褒めてあげる) 八十歳を越えた母が 若い母に言う きらめく花の中
 で細胞がぷちぷちと分裂する DNAの流れに組み込まれ眩しく光る ふたつの生命

 車窓に見える満開の桜 海を隔てた町に住む友を 駅で待つ (褒めてあげる) 晴れ
 た空と真っ青な海 亡くなった母の言葉が 全身にふりそそぐ 四月の光の中を歩い
 て来る還暦の桜 生まれた干支に回帰するよう 水が循環するよう 時空を超える 
 曼陀羅の遍路みちを辿りながら>
    


Posted by nakao at 17:12Comments(0)芸術