2014年05月01日

絵図

<絵図> 詩 中尾彰秀              詩人・ピアニスト・ヒーラー

 三つ四つと
 乱雑に積み重ねられた
 日毎の掌大の予定表 
 ここのところ雑用も加わって
 一日に一つずつぐらいは
 やり残しがあるから
 捨てなかった
 やり残しがあっても
 日は前に進むから
 気にならない

 時の流れは
 神の決めたこと
 同じ繰り返しでも
 その新鮮さに
 いつも驚かされ
 ふいに思い出す
 七回生の終わりに訪れた
 チベットの山道の積石

 就寝前の半睡状態
 貴重な駆け込み時間

 何者かに導かれ
 一紙拡げてみれば
 ぺけまるさんかくしゃせん
 ハリーポッターならぬ
 世界の迷路の答絵図
   


Posted by nakao at 16:49Comments(0)

2014年05月01日

北口汀子詩集

<北口汀子詩集> 記 中尾彰秀               詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(75)

 「微象」  北口汀子詩集 1991年 竹林館 定価2000円 30篇 102頁

       我々は日々、生きている。神話の世界を。
       逆に言えば、歴史・真実・神話の証拠として
       今の今を造り上げ生きている。それは、存在の
       源に生かし生かされている奇跡。その実感が
       良く生かされた一作がある。内なる光への軌跡
       の描写だ。その他、想念の実験のごとき作も見
       受けられ、詩人としてのプロセスを窺うことができる。
       添えられた多田真理氏の版画はルドンの印象が
       強く感じられる。

            「ノスタルジア」

   <言葉が或る時果実のように熟れてくることがあるそうだ
    そんな話はおぼろな彼方に見え隠れする神話の世界での
    出来事のように思える しかし確かにそんなときが稀に
    訪れるものだ そんなとき 言葉は丸丸と熟し 心の底
    にぼってりとした手応えを残す そしておぼろな彼方に
    揺らいでいた神話の世界が忽ちに顕れてくる ところが 
    その言葉が何だったのかいくら考えてみても 浮かび上
    がってはこない ただ心の底の暗闇に残るかすかな感触
    だけがやけにありありと感じられ その感触を手繰り寄
    せるとぽっかりと白く輝いている
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Posted by nakao at 16:30Comments(0)芸術