2015年03月09日

ぽとり37

<ぽとり37> 記 中尾彰秀           詩人・ピアニスト・ヒーラー

 地球を至福にする百の詩集(29)

 「ぽとり」 37号 武西良和詩誌

       「海岸」

<海の中で起こる あらゆる事件 

 海賊による 略奪 嵐による 沈没
 
 雨風に吹き殴られ 大海をさまよう 船

 それらの事件を海は 忘れない しかし晴れた穏やかな日に
 海岸に打ち寄せる波は あらゆる事件を 平均化 してしまっている
 絶えず 打ち寄せてはいるが さざ波ばかり



 この地方の平均点 歩く人々の平均点

 均すことは人々の考えた知恵 だが大きな事件を 小さくしてしまっている
 また ないものにまで ある と言ってしまう>

     平均化は確かに人間の考えた知恵。
     しかし、大自然の力は平均化ではなく
     和すること。和することの深さも意味も
     人間の理知は理解できない。理解でき
     ないのが理知の正直。カミュの小説の
     ごとく、親の死んだときに恋人と海へ泳
     ぎに行ったからと云ってどうってことない
     実存。理知を超えた波動認識こそが世界
     の真実である。  


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2015年03月09日

新怪魚133

<新怪魚133> 記 中尾彰秀             詩人・ピアニスト・ヒーラー

 地球を至福にする百の詩集(28)

  詩誌「新怪魚」 133号 

     細川治男詩篇 「背中」

  <背中は見えない しかし年を重ねると 見えないそれが見えて来る
    無防備ながら何でも知っている 辛いこと苦しいこと歓び哀しみ
    じっとじっと受けとめている

    背中で聞いた言葉の数々

      うぶでぶきっちょやけど わてを大事にしてくれた もうこんなところへ
      来たらあかんえ (郭にて)

      お前のような奴の面 二度と見たくないわい とっとと失せろ (顧客
      とのトラブル)

      好きです 行かないで・・・ (恋の終わりに)

      ひとこと言っておく それだけは止せ それを無視してしくじった (先輩
      の忠告)

    立派な心がけだ 思いっきりやってみろ これはしっかり受け止めた (上司
    に励まされて)

     ・・・・・・

    背中は 今 私と生きる>

         質実剛健に生きることのどこが詩なのか。
         どこにも詩はない。なぜならば、生きること
         そのものが詩だから。現に詩人面なんてな
         いだろう、頑張って生きていたら誰しもが詩
         人。もっともニセ詩人は多い。有名になって
         ロクでもない詩を書いて大金をもらっている
         あのT.だよ。日本の恥のごときあれ。  


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2015年03月05日

佐藤勝太新詩集

<佐藤勝太新詩集> 記 中尾彰秀            詩人・ピアニスト・ヒーラー

 地球を至福にする百の詩集(27)

 「ことばの影」 2015年 佐藤勝太詩集 コールサック社 2000円+税
                  B六版 192頁 76篇

     日常の当たり前のことを書きながら
     ふと辺り前でない何かに気付かされる。
     当たり前でない何かはどこから来るのだろう。
     当たり前でない何かはどこへ行くのだろう。
   
     当たり前である日々は何で成り立っている。
     当たり前であるのはいかなる理由からか。
     平凡とは当たり前であることなのか。
     
     普通にあるということは奇跡なのではないか。
     淡々と風刺と諧謔が・・・・・。
     実は闇を背負っている人間
     いかに闇を突破して生き抜き得るか。
     風刺の裏に深い愛が見え隠れしている。

     「魚と人間の境遇」

 <日本の首都の海 東京湾には 魚の宝庫のように
  さまざまな魚たちが棲んでいて 花畑のようなサンゴ畑の
  間を群れていた

  東京人の食べものの 富裕物の滓がプランクトンとなり 豊かな食餌となって
  魚たちは花の中で 幸せそうだった 

  荒廃する首都の中で 蠢く人間たちは 埃にまみれて右往左往
  食べるために汗を流して 幸せを探している>  


Posted by nakao at 18:04Comments(0)