2009年11月15日

航跡消えず(2)

<<< 航跡消えず(2) >>>  詩評 中尾彰秀  詩人・ピアニスト・ヒーラー
                                  ライフ&ライブコンサルタント

  ------ あなたの人生を至福にする百の詩集(31) ------

    「 航跡消えず(2) 」  柳原省三詩集 私家版 非売品 発行2009年 24篇

      堅実さにほっとさせられる詩集。常識と良識を、決して踏み外さず
     幻想に走らず、ジョーク大好き。哀愁にふっとうなずく。元外航船員
     の現農業家詩人。
      船の上にも世俗はあり、人間同士のせめぎ合いは当然のごとく、
     あった模様だが、いかなる場合もやさしく見つめる詩人の器の大き
     さを思わせられる。出世を取らず人間性を選んだ上司の描写など興
     味深い。
             「 美しい人よ 」

<容姿の美しい女性は心も美しい 外容整えば内容もそれに従うと 力説していたのは
船の嫌われ者船長 船の長になれば 人間性も一番勝れていると 暗に部下にいいた
かったらしい    そんな傑出した二人の船長がいて 当社の嫌われ者横綱は 猛烈に
お互いの悪口を言い合っていた 一方こそ社内一の嫌われ者であり 反対に自分には人
望があると 口答えできない部下に主張している    部下から見ればどっちもどっち
心の中であざ笑っているのだが それでも微妙に好みをつけていた 両者の共通点は上
にへつらい 下にやたらに威張り散らすこと 根っからの軽薄人間である    けれども
この世に栄えるのは どうもそんな人間であるらしい 部下思いの人望のある船長は 会社
が安い外国人船員を雇用するため 真面目に働く部下の首切りを始めると 部下を守って
真っ先に首を切られた>

           


Posted by nakao at 11:33Comments(0)芸術