2009年11月30日

人食いの風

<<< 人喰いの風 >>>  詩 中尾彰秀  詩人・ピアニスト・ヒーラー
                              ライフ&ライブコンサルタント

    ほんの5分で済むはずなのに
       30分待たされている
          重い荷物を持ったまま
             それでも私は
                とても暖かい時を過ごした

              戦後からの和歌山市の写真集眺めていると
            昭和27年私の生まれた頃
          ビルはとんとないながら
        風吹きすさぶ街角を
      再築された和歌山城が見下ろす
    チンチン電車と四角い車のニアミス
       だぶだぶの服着て大道りを横切る
          青年はゆっくりと顔は暗い
             小学校低学年の頃
                いま私の住む堀止は
                   道が狭く埃だらけで
                      とても怖かった
                   
                    どの街角も
                  人を喰う荒々しいからからの風があった
                決して十分な内省を持たず
              やみくもに未来へ未来へ後押しする無頼
            いまその風は
          何処を吹いているのだろう

             ほっこりしたところで
               さあどうぞお待たせ
                  書類上の本社の命令なんです
                     お手数掛けさせて
                        申し訳ありません  


Posted by nakao at 16:55Comments(0)芸術

2009年11月30日

大蜘蛛

<<< 大蜘蛛 >>>  句 中尾彰秀  詩人・ピアニスト・ヒーラー
                           ライフ&ライブコンサルタント

     家人など放り出し凄む大蜘蛛や  *

  かつて木造平屋であった実家は
    隣が神社の森で裏は山
       律儀に良く挨拶に来た大蜘蛛
          比較的小さなボディに長い長い脚
             鬼の様な眼
                遭遇するや私は
              総毛穴立って身動きできなかった
            が、そこは上手くできていて
          蛇の苦手
        ムカデの苦手
      鼠の苦手
    家族の分担だ

       ここ20数年
         世の建物は現代化され
            街の住宅では
               彼らとはほとんど巡り合わない
                  少しさびしい気もするが
                     それだけ人間は図に乗って
                   自然破壊しているのだ

         *  初出 森羅通信104号 2000年6月

  


Posted by nakao at 16:30Comments(0)芸術